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序.輪島市中心市街地活性化基本計画の目的、スケジュール |
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◎計画の背景及び目的 |
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「中心市街地」とは、長い歴史の中で産業・文化・伝統が集積し、その都市の様々な機能が培われてきた「都市の顔」である。しかしながら都市のスプロール化により、中心市街地の空洞化が叫ばれるようになって久しい。現在、郊外開発に代表される拡大型の都市政策が見直され、中心市街地をどのように再生させ、都市の魅力をいかに高めるかという視点へとシフトが進んでいるが、現実は郊外における住宅開発、郊外型大型店の立地などに代表されるように都市機能の郊外流出に歯止めがかからず、中心市街地の疲弊が進行する状態にある。 |
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このような危機意識の下、平成10年7月24日に「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律(略称:中心市街地活性化法)」が施行された。活性化法は通産省、建設省、自治省が中心となって13省庁が連携し中心市街地活性化のための総合的対策を講じるものであり、国の支援を受けながら市町村が主体となって計画の策定から実施までを行っていくものである。 |
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輪島市においても、他の多くの都市と同様に商店街の活力低下、居住者の高齢化など中心市街地の疲弊が進んでおり、加えて基幹産業の活力の停滞、観光客の減少などにより、都市全体の活力再生の必要性が高まりつつある。 |
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本計画は、輪島市の中心市街地の将来像、方向性を十分検討した上で、中心市街地活性化の実現に向けて様々な施策を提案し、現在行われている施策との有機的な連携を図りながら活性化のための基本計画を策定するものである。 |
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尚、策定にあたっては学識経験者と市民の代表者、商店街代表者、行政関係者で構成される「輪島市中心市街地活性化基本計画策定委員会」を設置し、輪島のまちづくり全般からの視点で中心市街地の検討を行うとともに、具体的な施策を考える組織として、商店街の代表が中心となる「輪島市中心市街地活性化基本計画策定ワーキング委員会」を設置し、計画の策定にあたるものとする。 |
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また、できるだけ多くの市民の参加により計画を策定するために、各商店街や関連団体にヒアリングを行い活性化の方向性を探るとともに、市民アンケート、商業者アンケートを行い市民意識の把握に努める。さらに輪島市役所内に「輪島市中心市街地活性化庁内連絡会議」を設置し、全庁的な活性化事業の取り組みに当たるものとする。 |
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1.輪島市及び中心市街地の現況のまとめ |
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(1)輪島市全体の現況 |
位置・地勢 |
○ |
輪島市は、本州中央部日本海に突出した能登半島の北端に位置する。 |
○ |
市の中心から県庁所在地の金沢市へは、約120kmであり、自動車で約2時間を要する距離にある。 |
○ |
高洲山(標高567m)を頂点とする山地が、全市域面積の約80%を占め、東西に連なって海に迫っている。 |
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人口の動向 |
○ |
平成10年における輪島市全体の人口は28,666人、中心地域である河井町の人口は5,062人であり、どちらも減少傾向にある。 |
○ |
平成元年を100とすると、平成10年の輪島市全体の人口は90であるが河井町は82であり、中心地域の人口減少が著しい。 |
○ |
高齢化率は、平成7年までに急激に高まり、それ以降は微増傾向となっており平成9年で約24%である。 |
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産業構造 |
○ |
事業所数は2,157事業所(H8)であり、平成3年から約150事業所減少している。事業所数構成比では、「卸売・小売・飲食」が最も多く34.7%、次いで「製造業」が26.8%である。第2次産業の割合が高いのは、輪島塗の事業所が多い点に起因している。 |
○ |
輪島市の就業者は15,694人(H7)であり、平成2年から約1,000人減少している。就業者数の構成比では、「製造業」が最も多く23.3%、次いで「サービス業」となっている。 |
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漆器産業の
動向 |
○ |
輪島塗(漆器産業)の年間生産額は、平成2年の152億円から平成6年には115億円へ約24%減っており、他産地と比較しても減少率が高い。 |
○ |
輪島市の製造業の出荷額に占める割合は、平成2年には約52%であったが、平成7年には約37%にまで縮小している。 |
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商業・小売業の動向 |
○ |
商店数は平成9年で473店であり、平成6年からの減少率は約10%と急激に減りつつある。さらに平成3年から平成6年までの減少率は約3%であることから、近年減少傾向が大きくなってきている。 |
○ |
小売業の従業員数は平成9年で1,599名であり、平成6年からの減少率は約15%と非常に大きく、近年減少傾向が大きくなってきている。 |
○ |
販売額は平成6年から9年までで約16億円の減少になっており、減少率は約6%である。 |
○ |
小売業売場面積は近年増加傾向にあり、商店数が減少していることからも小売店の大型化が進んでいるといえる。 |
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消費購買動向の変化 |
○ |
地元購買率は、買回品、準買回品、最寄品の全てにおいて減少しており、特に買回品が5年間で8.7ポイントの減少になっている。中心地の河井町の購買率も減少しており、特に買回品の減少率が大きい。 |
○ |
市内の2大型店においても購買率は減少しているが、中心部である河井町より減少幅は小さく、最寄品では約40%の購買率を占めている。 |
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購買流出入 |
○ |
全商品の購買動向をみると地元購買率は77.5%であり、石川県内平均41.0%と比較すると高い。 |
○ |
流出先としては金沢市が最も多く12.2%、次いで穴水町であり3.4%である。流入として大きいものは門前町8.4%、柳田村4.4%である。 |
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観光客の現況 |
○ |
輪島市の観光客数は急激に減少しており、平成9年の総数は約130万人であり、平成4年の約230万人から100万人近く減少している。 |
○ |
朝市の入込客、宿泊者数も減少しており、平成4年を100とすると5年後の平成9年において、朝市は69、宿泊者数は51となっている。 |
○ |
観光客が朝市を訪れる割合は、平成9年で約77%である。 |
○ |
宿泊者数は平成9年で約25万人、観光客全体の約19%が宿泊している。 |
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(2)中心商店街の現況 |
中心商店街の位置 |
○ |
市の中心商店街は河井町を中心に6つ存在し、本町商店街、わいち商店街は朝市通りから重蔵神社にかけての河井浜から一本入った通りに、まんなか商店街は国道249号沿線に、馬場崎商店会と駅前商店会は(主)七尾・輪島線沿線にそれぞれ位置している。また、新橋は鳳至町に位置している。 |
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本町商店街振興組合の概要 |
○ |
古くから輪島の中心的な商店街として、買回品が多い商店街であり、輪島の中心商店街の中で最も大きい規模である。 |
○ |
午前中は「朝市」が立ち観光客を中心に非常に来街者が多いが、午後からは閉店する店舗もあり来街者数も極端に減少する。 |
○ |
来街者数の減少も大きい。(平成6年→9年:70%) |
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わいち商店街振興組合の概要 |
○ |
平成5年の法人化から活発な商店街活動が行われており、各種イベントの開催、空店舗対策等のソフト事業や、駐車場整備、「わいち茶屋」の設置、「賑わいの道づくり事業」等のハード事業を進めている。 |
○ |
店舗構成としては飲食業が多い点が特徴である。 |
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まんなか商店街振興組合の概要 |
○ |
平成9年から県の活性化補助を受けイベント事業を開催しており、毎週1回の「太鼓フェスタ」をはじめ、抽選会、チラシ配布、機関紙の発行を行つている。 |
○ |
国道249号の沿道にあるため自動車交通量が多く、大手漆器店が集まっているが、店舗の間口割合が50%と低い。 |
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馬場崎商店会の概要 |
○ |
都市ルネッサンス事業を契機に「輪風・まちづくり協定」を作成し輪島らしい建築を進めるとともに、商店街の組織改変を行い「まちづくり会議」を設置、四季を感じるイベントを中心に商店街活動の活性化を進めている。 |
○ |
現状では(主)七尾輪島線の沿道にあるため自動車交通量が多く、歩道が狭いため歩行環境が悪い。 |
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駅前商店会 |
○ |
駅前に立地していることから、土産物店、飲食店、宿泊施設が多い特徴を持つ。(サービス業の割合27%) |
○ |
(主)七尾輪島線の沿道にあるため自動車交通量が多く、歩道が狭いため歩行環境が悪い。 |
○ |
鉄道利用客の減少や、市立病院の移転等周辺環境が変化している。 |
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新橋まちなみ振興会 |
○ |
平成11年度からまちなみ振興会を設置し、商店街活動をスタートさせた。 |
○ |
平成11年度には、「新橋まちなみビジョン」を策定している。 |
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2.中心市街地の位置・区域
(1)中心市街地の位置・区域の設定の考え方
○ |
中心市街地活性化法に基づく国の基本方針に準じ、輪島市中心市街地活性化基本計画における中心市街地の位置・区域を設定する。 |
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@中心市街地として定めることができる区域
ア) |
相当数の小売商業者や都市機能が集積し、市町村の中心としての役割を果たしていること |
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イ) |
土地利用、商業活動等の状況・動向からみて、機能的な都市活動の確保や経済活力の維持に支障を生じ、又は生じるおそれがあること |
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ウ) |
中心市街地における事業の一体的推進が、当該市町村及びその周辺地域の発展に有効かつ適切であると認められること |
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A輪島市における中心市街地の位置・区域の考え方
・区域設定に際し次の要素を考慮に入れるものとする。
ア) |
中心商店街が含まれ、小売業が集積している地域 |
○ |
輪島市の6つの中心商店街(本町商店街、わいち商店街、まんなか商店街、馬場崎商店会、駅前商店会、新橋)を含む地域とする。 |
○ |
商業小売店が一定程度集積し、「まちの顔」として機能している |
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イ) |
居住機能が集積している地域 |
○ |
人口密度が高く、居住機能が集積している地域とする。 |
※ |
輪島の中心部は、高齢化・核家族化が進行しており、この傾向が続けば都市活動、経済活動に支障をきたすと懸念されている。 |
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ウ) |
都市機能が集積している地域 |
○ |
事業所の集積:各事業所をはじめ、JAや輪島漁業生産組合等の生産拠点 |
○ |
観光拠点の集積:キリコ会館、輪島漆器会館、朝市、夕市(住吉神社)等 |
○ |
文化施設の集積:輪島市文化会館、図書館等 |
○ |
交通施設の集積:鉄道駅、バスターミナル等 |
○ |
公共施設の集積:市役所、国・県の出先機関や事務所、保険所、福祉会館等 |
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エ) |
輪島港マリンタウンの取り扱い |
○ |
将来的に計画が策定された段階で中心市街地に組みこむものとし、現段階では整合
をとれる形での区域設定とする。 |
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(2)中心市街地の位置・区域 |
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3.基本理念・方向性と事業
中心市街地活性化の事業体系
○基本理念・方向性と活性化事業
中心市街地活性化の基本理念・方向性を実現するために、輪島市において実施していく「市街地整備改善事業」及び「商業等活性化事業」を位置づける。
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基本理念 |
輪風のふれあいに出会えるまち 〜輪島弁のまちなか交流が渦巻く中心市街地を目指して〜
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輪風のふれあい |
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市民・来訪者が、中心市街地において輪島弁が行き交う、活き活きとした交流に出会うことができるまちを目指す。 |
● |
「拠点型交流」→「まちなか交流」へ |
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本物の輪島の生活・文化があふれている「まちなか」での交流を推進する。 |
● |
主役は市民 |
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市民が楽しく快適に、輪島弁で暮らせるまちを実現する。 |
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※ |
輪風とは、輪島独自の歴史・文化を背景とした固有性・独創性を示す言葉。 |
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方向−1 |
方向−2 |
方向−3 |
訪ねてみたくなる商店街づくり |
各商店街、各商店が個性的に「輪島」を発信、来訪者が訪れてみたくなる空間づくり。 |
●各商店街の拠点づくり |
●まちなか交流核施設づくり |
●輪風の店づくり |
●商店街の連携、共同事業 |
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歩いてみたくなる環境づくり |
回遊性を高めるための魅力ある歩行動線の整備やコミュニティバス等の導入。 |
●回遊のためのみちづくり |
●サイン・道路景観づくり |
●まちなかマップの作成 |
●コミュニティバスの運行 |
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市民が集う生活空間づくり |
ふれあいながら、毎日楽しく買い物ができる、商品、サービスが充実した生活空間づくりづくり |
●接客・サービス等の勉強会 |
●駐車場の整備 |
●環境配慮型商業空間の充実 |
●空き店舗の活用 |
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市街地整備改善事業 |
1.回遊性を高める道づくり |
○ |
中心市街地が連続して回遊できるための歩行空間 |
○ |
サインの整備、漆を感じる景観、路地の整備 |
2.輪島港マリンタウン |
○ |
輪島の新しい核としての海、港を活用した都市アメニティ空間、交流空間の整備 |
3.駐車場整備事業 |
○ |
中心市街地における効果的な駐車場配置 |
○ |
商店街利用者の利便性向上 |
4.居住環境整備事業 |
○ |
住宅整備や情報通信環境の整備 |
○ |
公園や公共下水道整備等による生活環境の向上 |
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商業等活性化事業 |
1.一商店街・一拠点づくり |
○ |
商店街のイベント、展示、休憩空間の整備 |
○ |
バリアフリートイレ、まちづくりスペースの併設 |
2.輪風交流の核施設づくり |
○ |
各商店街をつなぐ、交流拠点整備 |
3.輪風の店づくり |
○ |
店舗景観、バリアフリー化、商品研究への支援 |
○ |
空店舗対策、テナントミックスの推進 |
4.中心市街地回遊促進事業 |
○ |
まちなかマップ、インターネットでの情報発信 |
○ |
コミュニティバス、タウンモビリティ |
5.商店街活動の推進事業 |
○ |
各商店街の活動サポートやイベントの支援 |
○ |
共同イベントや共同研修への支援 |
6.中小小売商業高度化基本構想策定事業 |
○ |
TMO構想の策定 |
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