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Data
■開催日時 平成15年12月20日(土)
■テーマ 漆器
■開催場所 河井町
■開催時間 10時〜12時
■天候
■参加人数 32名
■案内人
  コーディネータ
水野雅男さん((有)水野雅男地域計画事務所所長)
須田麻美(輪島工房長屋スタッフ)
■回遊ルート ふらっと訪夢(集合)→椀木地 垣地さん→塗師 鵜島さん→ギャラリー藹庵(あいあん)→ギャラリー&塗師蔵 蔦屋漆器店→輪島工房長屋(解散)

Contents
特にこの回は、普段はなかなか見る機会の少ない地元の職人さんの仕事場や、漆器を販売しているギャラリーなど、河井町の漆器を中心とした探検コースになりました。輪島塗の最も初期の工程である椀木地は、型屋さん(輪島市内)から、生木を乾燥させて大まかにはつってある荒型を買ってきて、燻煙乾燥室と呼ばれる室で、木を削るときに出たカンナくずの煙でいぶして水分量を7%以下に調節します。そして、含有水分量が木地を挽くのに適している12%ほどにもどったら、自分で鍛冶して作ったカンナ(写真@)で荒挽き・中挽き・仕上げ挽きして木地が完成します。今回訪れたのは河井町にある垣地さんの仕事場。実際に木地を挽いてもらいながら聞く説明は分かりやすく(写真A)、仕上がった木地に驚きの声が上がりました(写真B)。

次にうかがったのは下地の職人さん(輪島ではぬし塗師と呼んでいます)。駅前大通りから少し入ったところにある鵜島さんの工房を訪ねました。
輪島の下地は独特で、輪島塗の最大の特徴のふたつ(布着せと本堅地)が、この工程にあります。まず木地調整をし、ふしや虫食いがある部分は刻苧とよばれる、ケヤキを細かい粉末にしたものを漆に混ぜて埋めます。漆が乾いたら磨いて、木地固めといって木地全体に生漆を塗布し、余分なものはふき取ります。そのあと輪島塗の特徴のひとつである、布着せ(=『着せもんかけ』とも言います)という工程にはいります。これは寒冷紗(木綿)または麻布を、縁の弱い部分やゆかに擦れる部分、重ねたときに衝撃が加わる部分(箸があたる部分)などに米糊と漆で接着することで、弱い部分や欠けやすい部分を補強しています。漆が乾いたら(うるしは温度と湿度で乾きます)、今度は布削りをして、布が重なっている部分や木との境目をきれいに整えます。布と木の段差をなくし、密着を良くする為に今度は惣身付けをします。惣身付けというのは、惣身粉と呼ばれるケヤキの粉末を炭化させたものを塗って、乾いたら研ぎます。それから1辺地付け、地縁引き(上縁を生漆で強くする)、1辺地研ぎ、2辺地付け、2辺地研ぎ、3辺地付け、3辺地研ぎ、地研ぎ、中塗り、錆、中塗り研ぎ、上塗りで完成となります(注:上塗りは上塗屋さんの仕事)。
輪島塗の特徴のもうひとつがこの○辺地という『輪島地の粉』(写真C)を使用した下地で、本堅地といいます。
鵜島さんの工房を見学したときはちょうど、惣身付けの作業中でした(写真D)。探検隊参加者のひとりが、実際にその作業を体験させてもらっていましたが、この仕事がいかに熟練を要するものかがよくわかった1コマでした。

鵜島さんの仕事場をあとにして、馬場崎商店街のギャラリーあいあん藹庵へ。ここは塩安漆器工房の塩安愛子さんがセレクトした製品を展示・販売しているギャラリー(写真E)で、笑顔の塩安さんが探検隊を迎えてくれました。
11月下旬にオープンしたばかりの蔦屋漆器店のギャラリー(写真F)へも行って来ました。洗練された空間にひたりながら、漆器の持つうつくしさ・あたたかさ・心地よさを体感しました。普段、上塗り等の作業をしている温度・湿度の変化が少ない塗師蔵内部も見せてもらうことができ、そこで蔦屋漆器店の大工さんから聞く話も新鮮で、探検隊参加者は輪島塗への理解が深まったようすでした(写真G)。
最後は輪島工房長屋で意見交換会を開催し、意見を発表し合いました(写真H)
↑写真@ ↑写真A ↑写真B ↑写真C

↑写真D ↑写真E ↑写真F ↑写真G

↑写真G 明治34年の大火で焼け残った玄関戸のある蔦屋漆器店の外観 ↑写真H